葛の葉伝説をご存知でしょうか。「葛の葉」と言う名の美しい娘が男と恋仲になり子をなすが、葛の葉は実は狐の化身であり、その事を悟られて姿を消し、のちに人と狐の血を引くこの子が不思議な力を現すようになるというお話です。この伝説をテーマに、地唄や説教節から小松左京や手塚治虫によるものまで、様々な物語が作られています。中でも有名なのが人形浄瑠璃(文楽)の「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」と、これを元にした同題の歌舞伎。あらすじを紹介しますと・・・
跡目を争う政敵の謀略により、恋人「榊の前」を眼前で自害に追いやられた「安部保名」は、榊の前の小袖を身に纏い、亡き人を追い求めて狂ったようにさまよい歩く。そんな保名の前に偶然現れた榊の前の妹「葛の葉姫」は姉と瓜二つで、保名は姫に抱きつこうとする。これをとどめた周囲のものから事情を聞いた姫が優しい言葉で保名を慰めると、彼は正気に戻った。葛の葉姫と保名は、お互いに惹かれあった。
あるとき、保名は姫の父に結婚を願い出た。しかしそのとき突然、狩りの鳴り物が聞こえ、白狐が逃げてくる。保名はとっさに狐を匿い、姫らを逃がすが、狐を狩り損ねた男「悪右衛門」は保名に暴行を加える。この悪右衛門が実は榊の前を自害に追いやった政敵の一味で、葛の葉姫にもしつこく言い寄っていた男であった。
にくき悪右衛門にいいように打ちのめされてしまった保名は悔しさのあまり自害しようとするが、戻ってきた「葛の葉」に留められて思いとどまり、阿倍野に行って二人で暮らす事にする。
保名と葛の葉が阿倍野に隠れ住んで六年、二人の間には男の子も産まれ「童子」と名付けて育てていた。その保名の元に、葛の葉姫の父が保名を尋ね当てて訪れた。姿を消した保名を思うあまりに病に伏していた姫が元気になったので、保名との結婚を認めるつもりで尋ねてきたのだと。
保名は驚いた。葛の葉と葛の葉姫。二人の葛の葉。
夫がどうやら事情を知ったと悟った妻「葛の葉」は、眠っている我が子に乳を含ませながら、涙ながらに語る。「六年前に信田の森で助けてくれた保名の恩に報いようと、葛の葉姫の姿を借りて尽くしてきましたが、正体を知られた上からは、一緒に暮らすことは出来ません。あなたは、所詮狐の子となじられぬ様、立派な人になりなさい。」妻であり母である葛の葉は、なんとあの白狐の化身だった。夫への書置きを障子に残して、葛の葉は出て行った。
「恋しくば 尋ねてきてみよ 和泉なる 信田の森の うらみ葛の葉」
保名は童子と共に信田の森まで葛の葉を探しに行くが、現れた葛の葉は、しかし阿倍野に戻ることはせず、童子の身を守ることを誓うと、狐の姿に戻って茂みに消えた。
・・・
数年前にブームになった「陰陽師 阿部晴明」は、この童子の後の姿だと言われています。
どうでしょう、人形浄瑠璃(文楽)を歌舞伎を見たい!!と思いませんか?
魅力が私の文章で伝わるかなと心配ですがね。私も歌舞伎、文楽共に未経験なんですが、この葛の葉の物語は見てみたいなあと。これをテーマにした、小松左京氏や手塚治虫氏の作品も読みたいですね。
そして、このドラマチックな物語が落語になるとどうなるか?
落語「天神山」の後半は、この葛の葉伝説が元となっています。
5月31日のき楽寄席では、小つる師匠の天神山がかかる予定です。
お楽しみに!!
私はねぇ、落語が描く飾らない人間像って、やっぱり好きですねえ。
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