8月15日の土曜日、昼のワンコイン寄席、夕方からのはひふへほっと寄席と続けて行ってきました。
『ワンコイン寄席』
饅頭怖い 桂宮治
金明竹 立川談笑
片棒 立川談笑
『はひふへほっと寄席』
ろくろ首 春風亭べん橋
紙きり 林家正楽
お菊の皿 立川談笑
(中入り)
江島屋騒動 一龍斎貞水
まずは昼席のこと。今回は仕事が休みの日でしたのでワンコインから行けました。濃かったわあ。これで500円は安すぎ。特に落語ファンとしては、今回は昼席のほうが良かったですね。
宮治さんが、プログラムのプロフィールによると、入門一年目。うそでしょ?その前に何か経験がおありなんでしょうが、聞いていて安心できる心地よい口演でした。
談笑さんは、お客の反応を探りながらのまくらから、東北弁版金明竹と、何だこの三兄弟は?の片棒。なんちゅうかもうね、説明しない、できない。私はもうずっぽりツボにはまりました。一目ぼれです。談笑さんご自身は客の反応を気にされていた様子でしたが、ちょっと戸惑い感はあったものの、全然大丈夫でしたよね。談笑さんには是非続けて金沢にいらして頂いて、金沢の落語ファンを洗脳してほしいなと思いました。
談笑さんに惚れた理由の一つには、観ていての心地良さも有りました。「私の落語は携帯電話くらいではびくともしません。全然気にしませんので。」なんて言われると、こちらも携帯電話の音くらいは気にならなくなるんですよね。
金明竹は、使いの人の関西弁が理解できずに困る話ですが、今回の談笑さんのは東北弁。私らが聞くと関西弁はなんとなく判るので、全く判らない東北弁のこのネタを聞くと、関東の人はこういう気持ちで関西弁の金明竹を聞いていたのかと妙に得心したりして。
談笑版片棒は、これはもう機会があったらお聞きくださいとしか言えない。説明しても面白さは伝わらないでしょう。葬式行列で、浦安からディズニーが出張で、ジャーファーが親父さんを蘇らせるわ、それを倒すのに、さあみんなでミッキーを呼ぼう!!と客席に声を求めるわ。私も勿論、呼びましたさ。あー恥ずかしい。
12時15分から始まって14時までたっぷり。手を抜かずにやってくださいました。観ていたほうも疲れた。あんな心地よい疲れは、大歓迎です。あたりまえなら3,000円でもいいプログラムでしたね。
そして、続いて夜席。
正楽さんが良かったです。6月のほっと寄席に続いての登場で、紙きりの内容は毎度お馴染みでしたが、今回は下座(お囃子)が良かった。聞いていて楽しくなるんです。演ってるほうも楽しんでるんだろうなあという感じ。「龍」の時は六代目松鶴の舟行きでしたかね。「蒸気機関車」のリクエストで正楽さんがちょっと手間取っていると、それに被せるように始まった鉄道唱歌がなんともいいタイミングでした。正楽さんもやられた!!という顔をされてましたが、その後「風の盆」のリクエストでは、なかなか出てこないお囃子に突っ込みを入れて、してやったりの顔も(笑)。
そして、リクエスト紙切りで終わるかと思いきや、美空ひばりの歌がBGMに流れ、プロジェクターのスクリーンでは紙切りの紙芝居。歌に合わせて歌っているひばりさん、歌詞の内容に合わせてのシーン、色々様々な紙切り絵が次々と出てくる。全部とは言わんが、かなりの部分が繋がっていたようですが、まさか巻紙から切られた本当に繋がったもんだったんでしょうか?まさかねえ。切った後に繋いだんだと思うんですが、あの正楽さんがそんな不恰好な事をするか?というと、しないような気もする。しかしあれがちゃんと繋がっているとしたら、本当に凄いわ。ろくろ首より恐ろしいぞ。人間国宝になってもいいんではないかとか、そんな事も思ってしまいました。
この紙切り紙芝居は、客席も本当に大喝采で、トリでもあれだけの拍手はなかなか無いぞ!!というもんで、次に出る談笑さんはきっついなあ、と心配しておったのですが。
正楽さんの余韻が覚めやらぬまま、談笑さんの出囃子の野球拳が鳴り始めたら、それに合わせて手拍子が起こって。うわあ、それも有りかあ?とびっくり。そのお陰でしょう、談笑さんもきっついどころかかえって気分よく出てこられた様子で。手拍子打ち始めたお客さんは今夜の隠れMVPやなと思いましたわ。
ただ、談笑さんも「昼席で燃え尽きて」みたいな事を言っていましたが、大ベテラン正楽と国宝貞水に挟まれた出番を意識して軽めにされてたんでしょうか、あるいは私ら聞くほうが、やはり正楽さんの余韻が残っていたんでしょうか、少し軽い感じがしました。
あ、いや、そう言っても、充分に十二分に面白かったですよ。ああいうお菊も有りかあ、というか、談笑さんが、まあ普通ののお菊になるとは最初から思ってません。心の準備が出来た意外さで、いやしかし、面白かった。
談笑さんって、顔は濃いし声は低くていい声で、どちらも存在感が凄いんですがね。私、顔が濃いとか声がいい噺家さんって、それが邪魔になって噺の世界に入り込めない(例えばまん我や春奈)と感じる事が多いんですが、談笑さんはそう感じないのが不思議でした。顔の濃さは、表情の人懐っこさや楽しげな様子で和らいでいるんでしょうかね。声については、音だけ聞いてても邪魔にならないので、これは話芸としての修練の賜物なんでしょうか。
しやしかし、昼夜続けて談笑3席は満腹になりました。満腹感を感じながらも、また聞かせて欲しいと思わせる、いい高座でした。
中入りを挟んでトリの一龍斎貞水さんは、さすが人間国宝!!。生で講談を聞くのは初めてでしたが、迫力が凄いですね。これは貞水さんだからこそなんでしょう。あと、講談って意外に判りやすいもんなんですね。初めての経験だしネタも出ていたので予習していかなきゃと思っていたのを、忙しさにかまけて忘れていてしまったんですが、ストーリーを知らなくてもちゃんとついて行けるんです。想像していたよりも落語に近いですね。ほっと寄席に講談ってどうよ?と思っていましたが、こうやって未経験の新しいもんに触れられる機会を設けてくれるちゅうのもいいもんですよね。
と言うことで、昼夜満足、げっぷが出るくらいに満腹した一日でした。
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